くらしと木々たち


門出へ来たひとや子どもたちのために、門出で見られる樹木を小林康生さんがまとめましたのでご紹介します。

シリーズ【自然と寄りそうくらし】

小林康生の主観的ガイド


Ⅰ くらしと木々たち
  建材・・・・・・・・・・(建)
  食材・・・・・・・・・・(食)
  染色・・・・・・・・・・(染)
  薬用・・・・・・・・・・(薬)
  塗料・・・・・・・・・・(塗)
  道具・・・・・・・・・・(道)


アカメガシワ
(染)
海岸に多いが、門出でもよく見られる。
6月初旬、出始めの頃の新芽は赤いので、この名がつけられた。
やがて緑色になる。葉を煮出すと黄色や竹色に染まる。
アカマツ
(建)
30年近く前、全国的に松くい虫が発生し、その被害で当地も少なくなった。まっすぐに伸びた木は少なく、木造建築のハリ(横柱)などに使われ、その曲りを利用して強度を増してきた。
キノコの王様「マツタケ」はこの松の根元から出る。
友人は、ふみつけてすべって転んだことから見つけてそうだ。
うらやましい。
イタヤカエデ
(建)(食)
木々の中で、一番割れにくいという。昔は、大八車の車輪に使われた。また、薪割りではくさび状の金矢(カナヤ)を打ち込み割るが、代用として使うのがこの板矢(イタヤ)カエデである。
樹皮を傷つけると樹液が出る。その樹液を煮詰めると甘いシロップになる。カナダの友人のプレゼントは決まってこのシロップ。
カナダの国旗はカエデの葉をかたどっている。(サトウカエデ)
ウワミズザクラ
(建)(食)(染)
桜の原種で、樹皮は桜とそっくり。そのもようが溝(ミゾ)のようなところから「ミゾザクラ」の名前がつけられたそうだ。
当地では5月に白いブラシのような花が目立って見える。
小さな桜の実は緑色のうちに採って塩漬けにし、酒のつまみやアンニンゴ酒にもする。
材は桜皮細工や家具に使われる。樹皮を煮詰めて染めると赤茶色に染まる。
ウリハダカエデ
(道)
葉はカエデに似るが、樹皮はウリのように緑色であることから名づけられた。低木であり、枝がきれいな二俣(フタマタ)になるので、子供のころその部分を利用してゴムひもを取り付け、小石を弾き飛ばす「石びや」を作った。
一度だけスズメに命中して落としたことがあった。
また、緑の部分を削って刀にしてチャンバラごっこもした。
皮は、ロープ代わりにも使ったと聞いたことがある。
ウルシ
(建)(塗)
昔から人工的に植えたもので、触るとかゆくかぶれるので注意。
樹皮をキズつけ、樹液を集めウルシ塗りに使う。
40年ほど前まで、柏崎市北条にウルシ取りの方がおられたという。
木材はくさりにくいので屋外用のハシゴに、またあざやかな黄色を生かした家具や欄間(らんま)などに使われる。
実は粒状で「ろうぴさ」とよびローソクになる。我が家には「ろうぴさ」を取るかぎ状の金具があった。
初冬、このろうぴさを鳥がついばみに来るが、よくかぶれないものだと思っていたら、ウルシ職人からいただいたのがウルシ茶で、飲みこめばかぶれないとのこと。たしかにかぶれなかった。
エゴノキ
5月の末、小さな白い花がシャンデリアのように咲き、やがて鼻ぼこちょうちんのような白い実が一面にぶら下がる。
子どもの頃、この実をすりつぶして水の中でゆすると泡が出てくるので、セッケンの木と呼んだ。
この実に含まれるサポニンは若干の有毒成分で、川などに流して魚を一時的にしびれさせ捕まえる漁もあるとか。
ガマズミ
(食)(道)
門出では「サルノトッカツ」という。
 秋、赤い粒々の実は遠くからも目立ち、食べたというよりかんでは吹き出した。少しすっぱくおいしくはない。
 ガマのようなザラザラした葉から名づけられたものと思っていたら、鎌の柄(手持ち部分)に使われたからだという。
 なにより弾力にすぐれているからよいのだと先ぱいに教えられた。
キハダ
(染)(薬)(建)
樹皮をひと皮むけば真黄色。大昔からその皮を煮出して黄色に染めたり、煮つめたエキスは胃腸薬として使った。
子供の頃、腹がいたくなると富山の薬で熊の絵の紙袋に入った板状のものを引っかいて飲んだ。とてもニガイ。(ニセクマと言っていた。)
平安時代、貴族が書いた紙はキハダ染めが多く、現在では黄色ではなく茶色に変色しているが、防虫効果はばつぐんだということだ。
キリ
(建)
昔、女の子が生まれたら桐を植えたそうだ。嫁に行く頃には桐も大きく成長して、桐たんすにして持たせるためだった。
木の質はとても柔らかく軽いため、ゲタなどにも使われるが何より火に強い。大きすぎる葉は火事が広がるのを防ぐに有効だという。
以前、火事後の桐たんすを見たことがある。表面は黒くこげていたが、内側はそのままだった。
クロモジ
(染)(道)
 若い木の樹皮を見ると緑色に黒いもんようが入っていることから名づけられた。
 三大香り木(他にタムシバ、アズサ)のひとつで、その香りは薬くさく心を落ち着かせることから、お茶の世界ではお菓子をいただくときのつまようじに使う。昔、「養命酒」に出荷する人もいたという。
 しかし、染料をとるため樹皮を煮詰めているときのにおいは、頭がクラクラするほど強烈だ。
 色は上品な赤みの強いあづき色で退色にも強い。
クルミ
(食)(道)(建)
 細長いヒメクルミと丸いオニグルミがある。味はあまり変わらない。
 ソバなどくるみを使った料理は数多い。
 樹皮でカゴを作ったり、木材は額縁にもよく使われている。
 昔、水曜会というグループでかやぶきのいろりに集まって酒を飲んでいる時、30年以上前のものと思われるクルミの実がなんきん袋いっぱいに入っているのを見つけ、焼いて食ったらとてもうまく、とうとう一袋全部食ってしまった。長持ちするもんだと感心した。
 染色には果皮か葉を煮出して染めると茶色になり、退色にも強い。
 タンニンが多いので、鉄分を与えると黒色になる。
 同級生の話では、子供の頃この果皮の渋を川の上流から流し、プイプイと浮いてくる魚を捕まえたそうだ。いろいろな漁があるもんだ。
ケヤキ
(建)
 同じケヤキでも雪国育ちのものは丈夫で、木目がきれいで価値が高いという。
 硬くて太くもなるので、さまざまな物・ところで使われている。
 特にたたく・打つに強いので、モチつきのウス、さいづち(木槌)、カケヤに、また建物では立柱(じょうや)や横柱(さし)に使われる。
 そのケヤキ材の太さ、長さ、木目がその家の価値を決めてしまう、富の象徴的な木材である。
コシアブラ
(食)(塗)
 最近、山菜のひとつとして新芽の天ぷらが人気が高い。
 昔、塗料として使われたとあって、少しくせがある。それがまた病みつきになるのかもしれない。
シナノキ
(建)(道)
 肉厚の丸みのある大きな葉が特徴。すべすべした樹皮は生きた年数分の層が年輪のようになっている。
 その皮は布に織られたり、紙の原料としても使える。
 昔からロープにしたり、民具としても幅広く使われてきた。
スギ
(建)
 現在ではスギ花粉できらわれているが、これほど建築材料として使われる木は他にないだろう。肌が美しく柔らかい。
 まず、昔は薄く割った板はコバブキ屋根に、皮は雨風に強く屋根に使われ、紙にすくこともできる。
 また、木部は柱材から板材まで実に幅広く使われる。
 ノコギリがなかった奈良時代以前の建物は、金矢(かなや)で割って板にした。直線に割れる木しか板にならなかったので、スギ、ヒノキ、が中心で校倉(あぜくら)づくりになってしまう。
ツルノハシバミ
(食)
 門出ではカシマメの木といっている。
 10月に入るとラッキョウのような形をした緑色の実が3個くっついて微毛におおわれている。
 その外皮をむくと丸い実があって、さらにカラを歯で傷つけてむくと白いナッツが出てくる。かじるとコリコリとした食感で、たんぱくでおいしい。
 一説には小国の八石山はこの豆が八石とれたところから名がついたと聞いたことがある。
トチノキ
(食)(建)
 昔、その実は大切な食糧であったと聞いているが、アク抜きをして食べるまでは大変手間がかかったようである。
 岐阜県の美濃紙の乾燥は現在も栃の木の一枚板を使っている。
 海抜の低い門出にはほとんどないが、トチヤマという地名があるのだからどこかにあったであろうと想像している。
30年前田代集落にあった実を植えたらみごとに育った。
 津南町秋山郷に行くと、トチノキを使ったウス、こねばち、テーブル、家具などを見ることができる。
ナラ
(食)(建)
 薪材として一番多く使われてきた。
 実はドングリといい、縄文時代の大切な食糧だった。
 硬い材質の木材で、現在床材など合板として使われている。
ネム
(染)
 夜、葉がしぼんでしまうことから眠(ネム)と名付けられたといい、日が落ちるとそろそろとしぼみ始める。
 しかし、門出では「香の木」コウノキといって、葉をかげ干しして粉にし、お盆の13日香台の灰の上にヨシを半分に切ったものですくい、線状に並べるそんな祖母の姿を思い出す。
 ただ、あまり香りはなかったような気がして、10年前試してみたら青臭かっただけだった。
 花は7月に入ると咲き始め、お盆まで次から次へと引き継いで咲き、最後の花が咲くころ最初の花はさやを付けた豆になり始めている。
 どの木々より葉の出るのが遅く、かれたと思った6月にようやく芽を出す。もともと南方の木なので、しもなどに合わないように遅いのだそうだ。そこから眠(ネム)の名がついたとの説もある。
 友人の話では、毎日香をたくという意味をこめて、仏壇の一部にこの材木を使う地方もあるとか。
ブナ
(食)(建)
 残雪があっても春祭り(4月21日)までには必ず新芽を出す。
 雪国にくらす者とって、待ちに待った希望の緑で春を連れてくる。
 上ノ山ブナ林では15年ほど前、一面緑の芝生のように幼木が生えるこうけいがあった。しかし、2年後残ったのは倒木があって日当たりの良くなった一部のみになり、現在は1m前後の高さの若木がそこだけ密集している。
 雨が降るとすべての水が幹に集められて滝のように伝って流れる。ブナの土に近い部分がいつもしめっているのはそのせいであることに気づく。雨の時、ブナ林に逃げ込めばぬれることはない。
ホオノキ
(建)(道)
ホオの葉は長く広い。包み物に使われることからその名がついたとの説がある。
田植えが終わる日さなぶりにボタモチを包んで配った。そんなことから「おたくのボタモチはいつだい」というような会話があった。
柔らかい材質は、まな板、子供が作る版画の版木、家具類に使われる。
6月、数こそ少ないが、特大の白いすいれんのような花を咲かせる。ただ、おしべが開く時、めしべは閉じ、交互に繰り返す。同じ木では受粉しないようになっているというから驚きのしくみである。
ヤマウルシ
(建)
 ヤマウルシは低木で、さわると人によってはかぶれる。
 くさりにくいので、かやぶき屋根のカヤを押える「オシボコ」に使われる。山から切り出したら、1か月ほど池にひたしアク抜きをすると、しなやかになり虫も付きにくくなるという。
ヤマザクラ
(食)(道)(染)
 山の水はけの良いみねなどに多く見られ、春の深緑の中で白い花は心をなごませてくれる。
 樹皮を煮出した染料はさくら色というか淡い赤茶色に染まる。
 材質はとても硬く、版木など型くずれしないものに使う。
 また、いろりのよろぶちにはケヤキが多く使われているが、強火でもささくれないサクラが上品である。
ヤマボウシ
(食)(道)
 門出では「いつぎだんごの木」と呼んでいる。
 6月に白い星のような花を葉の上に咲かせるのでめだつ。
 9月に入ると赤いだんご状の実をつけ、甘く香りが強い。南国特有で、日本ではない味覚。
 木々の中で一番硬く、キネや紙たたき棒などに最適。ただ、大木にならないので、貴重な木材である。

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